こんにちは。司法書士の荻野です。
遺言書には遺言者自身が遺言書を自筆する自筆証書遺言や公証人が作成する公正証書遺言などがあります。
このページでは、自筆で遺言書を作成する場合の注意点について説明します。
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、すでにした遺言の全部又は一部を撤回することができると民法で定められています。
したがって、前の遺言書を撤回する旨の遺言書を作成することで、遺言書を撤回することが可能です。
ちなみに、遺言者は遺言書を撤回する権利を放棄することができません。
第〇条 遺言者は、令和〇年〇月〇日付で作成した遺言書を全部撤回する。
第〇条 遺言者は、令和〇年〇月〇日付で作成した遺言書の「第〇条 〇〇〇〇」とあるのを撤回する。
前の遺言と内容の抵触する後の遺言がされた場合、抵触する部分については、後の遺言によって前の遺言は撤回するとみなされます。
しかし、撤回することを明確にしないと、遺言の内容が抵触するかで疑義が生じるかもしれないので、撤回するつもりであれば、上記「1.」で説明したように撤回する旨を記載し、撤回することを明確にする方がよいでしょう。
遺言者が遺言書を作成した後に、その遺言書の内容に抵触する処分やその他法律行為を行った場合は、抵触する部分については、その法律行為によって遺言を撤回したとみなされます。
しかし、どのような行為が抵触するかについて疑義が生じやすいので、撤回するつもりであれば、上記「1.」で説明したように撤回する旨を記載し、撤回することを明確にする方がよいでしょう。
遺言者が、故意に、遺言書を焼却したり、破り捨てるなど破棄をしたときは、その破棄した部分について、遺言を撤回したものとみなされると定められています。
故意に遺言書を破棄するような行為をする場合には、一般的に遺言者に遺言どおりの内容を実現するつもりがないからです。
ただし、公正証書遺言の場合、原本は公証役場にあるので手元の正本を破棄しても撤回したとされない可能性が高いです。
したがって、遺言書を撤回するのであれば、上記「1.」で説明したように撤回する旨を記載し、撤回することを明確にする方がよいでしょう。
遺言者が遺言書を作成した後に、その遺言書に記載されている目的物を故意に破棄したときは、その破棄した部分について、遺言を撤回したとみなされます。
時系列で整理してみます。
① 遺言書を作成
② ①で作成した遺言書を新たな遺言書で撤回
③ ①を撤回した②の遺言書を撤回
この場合、②の遺言書を撤回するだけでは①の遺言書の効力は回復しません。
もし、①の遺言書の効力の回復を希望されるなら、②の遺言を撤回するだけでなく①の効力を回復することを希望することを明らかにする条項を設ける必要があります。
第〇条 〇〇法務局所属公証人〇〇作成にかかる令和〇年第〇号遺言公正証書を無効とし、〇〇法務局所属公証人〇〇作成にかかる平成〇年第〇号遺言公正証書を有効とする。
いかがでしたでしょうか?
一度作成した遺言書を撤回する場合、本当に撤回してもよいのか、どのような方法で撤回するかを十分に検討する必要があります。
遺言書の撤回等を検討されている方は、当事務所にお気軽にご相談ください。
このページが、皆さまのお悩みの解決に繋がれば幸いです。
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