こんにちは。司法書士の荻野です。
会社を設立する際、発起人は発行する株式を1株以上引き受け、
その対価の払込み又は金銭以外の財産の給付をすることになります。
このページでは、発起人の出資金の払込について説明します。
会社法では、発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なくその出資に係る金銭の全額を払い込みをしなければならないとされています。
発起人が引き受ける株式数については、定款又は発起人全員の同意で決定します。
出資の履行の時期としては、設立する会社の定款を作成し、公証人が定款を認証した後に行うことが多いと言われています。
※認証とは、定款が適法に作成されたかについて公証人が証明することです。株式会社の設立では公証人の定款認証が必要となります。
では、公証人の認証後でなければ、出資の履行はできないのでしょうか?
定款の認証前でも、定款の作成日又は発起人全員の同意(発起人が引き受ける株式数を決めたもの)の後であれば、出資の履行を行っても問題ないとされています。
上記に説明した出資の履行の時期については次の変更があります。
定款作成日又は発起人全員の同意の前に払込まれていた場合でも、その払込みが設立に際し払込まれたものと認められるものであれば差し支えないとされています。
※令和5年4月現在
出資が金銭の場合、上記「2.」の時期に、発起人が定めた銀行等に金銭を払込むことになります。
この払込みはご質問が多いところなので、項目ごとに説明します。
(1)設立前で会社の口座はまだありません。だれの口座に払込むの?
原則は、発起人の代表者の口座に払込むことになりますが、
発起人からの委任があれば、設立時取締役の口座でも問題ありません。
設立時取締役の口座に払込む場合には、設立登記をする際に、
発起人が設立時取締役に払込金の受領権限を委任したことが分かる書面が必要です。
(法務省民商第41号平成29年3月17日)
(2)発起人と設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していない場合
登記の申請書の添付書面から、発起人と設立時取締役の全員が日本国内に住所がないことが明らかなときは、
発起人と設立時取締役以外の人の口座でも問題ありません。
この場合は、設立登記をする際に、
発起人が発起人と設立時取締役以外の人に払込金の受領権限を委任したことが分かる書面が必要です。
(法務省民商第41号平成29年3月17日)
(3)上記(1)(2)の場合、発起人全員の同意が必要なの?
上記(1)(2)の発起人からの払込金の受領権限の委任については,
発起人のうち1人からの委任があれば足りるとされています(法務省民商第41号平成29年3月17日)。
しかし、トラブルをさけるために発起人全員から委任することをお勧めします。
(4)新しく口座を用意しないといけないの?
新しく口座を用意する必要はありません。普段使用している口座を払込み先にして問題ありません。
もちろん、新しい口座を用意することも可能です。
(5)出資の履行は預け入れでもいいの?
発起人が1人の場合は、預け入れでもよいとされています。
しかし、発起人が2人以上の場合は、だれがいくら払込みをしたかが分かるように振込をした方がよいとされています。
※発起人2人以上の場合は、法務局により異なる可能性があるので、事前に管轄の法務局に確認をすることをお勧めします。
(6)払込んだ出資金は設立まで出金できないの?
払込まれた出資金は設立前に出金しても問題ありません。
(7)払込み先はネット銀行でもいいですか?
払込み先はネット銀行でも問題ありません。
通帳がないことが多いので、
設立登記の際は、「払込先金融機関名」「口座番号」「口座名義人」「振込日」「振込金額」が分かる画面を印刷して、添付書類の一部として提出します。
いかがでしょうか。
このページが、皆さまのお悩みの解決に繋がれば幸いです。
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